2023年10月29日から11月3日まで、東京文化財研究所のブータン伝統民家調査に参加し、ブムタン地方各地に残る古い民家の実測調査を実施しました。ブータンの民家は西部では版築造が優勢ですが、東部では石積造がほとんどです。ブータン中央に位置するブムタン地方には版築造と石積造が混在する集落があり、民家建築の発展過程の解明にとっても重要な地域です。調査対象のなかには、数百年前にさかのぼる由緒を持つ民家もありますが、その多くは空き家となっていたり、早急に修理が必要な状態だったりと、その継承に課題を抱えています。カウンターパートである内務省文化局も、それらの文化遺産としての価値を認識しながらも、予算や人材に制限がある中での対応に苦慮しています。ブータンの民家建築の過去から現在までの変化を物語ってくれるのは現存する建物しかありません。ささやかながら、技術的な支援を続けていく必要をあらためて認識しました。